
梅雨に入って2日ほどは確かに雨模様だったけれど、そのあとしばらくの間降ることがなかった。青空が見えて、陽が照りつけることも多かった(ようだと、ひきこもりの身として振り返る)。今日はお昼頃から静かに雨が降って来た。こんな日の連続が梅雨というものだったなあと思い出させられるようだ。
ゴーヤーのようなツル性の植物を、窓を覆うように這わせると自然の日除けになるという世間の流行りに乗って、去年、うちも出窓にその仕掛けをしたけれど、ツルはうまく這い上がってくれる様子がなかった。それでたまたまホームセンターに行った際、だいぶ成長しているものがポットに入れて安くなっていたので、それをいくつか選んで再挑戦したところ、うまく伸びて竹あみに絡まってくれそうな気配があったのだけれど、その直後に父は入院をした。その間、とりあえず気の付く限り水をやっていたら、ゴーヤーのツルはついに外から見ても窓があるのかどうかさえわからないぐらいにまで竹あみに絡まり、「伸び過ぎたものをどうしたらいいだろう」と思うくらいにまでなった。その様子を写真にとって父親に見せると驚いた様子で、「余ったツルはネットでも張って横の建物に導いたらどうやろう」などと言った。僕にはそんな気力はわかなかったから何もせず、父が帰るまでそのまま水だけやっていた。
今年は早くから、細い竹を編んだものにネットも組み合わせて、ツルが這い上がってきても大丈夫なようにと仕掛けをしている。そしてもう、去年よりだいぶ早く、ツルは順調に窓を覆う感じで伸びてきている。
父親については、去年、介護申請をさせてもらおうと思ってそれを言いかけたところ、市の介護予防事業があるとのことで月に一度の訪問看護をお願いすることになった。おとつい、その最後の回があり、本人の身体的・精神的能力が以前よりずいぶん落ちていないか、痴ほうの症状が見られないか、抑うつはないかなどをみるのだろうと思われる判定をして頂いた。訪問看護はこれが最後になるということで、市の保健師さんも同席された。改装のために物を集め詰め込んでいる部屋は、自分を入れて4人が座るにも狭く感じられる。僕は眠気もあり、何より話をする気力がなく、自分の用件を最後に言うまではずっと黙って犬のことをみていた。
ああいうテストには、単純に日付を尋ねたり記憶力を確かめたり引き算をさせるような具体的なものもあるけれど、文章での問いかけについてはある意味「哲学的」なものさえあるように思う。具体的な設問はもう忘れてしまったけれど、ひとつひとつについて「そう思う・どちかといえばそう思う・どちらでもない・どちらかといえばそう思わない・そう思わない」という選択肢が用意されている。僕が発達障害のスクリーニング的な検査をした際にも、こういう質問の仕方があって答えに困るものもあった。場合によってはそう思うこともあるし、解釈次第でそうではないと思える時もあるような気がする・・・いったいどう答えればいいんだろうと思うような質問。きっとそういうものも必要なんだろう。僕はと言えば、自分自身の再就職活動に関わって、父親の介護に一定の区切りがついたという証明が欲しかったので、それを保健師さんに伝えて、書類をコピーしたものを後で取りに行かせてもらうことを、ようやく伝えただけだった。欲を言えば、その後どういう生活リズムであるか程度のことを確かめる言葉を保健師さんから頂きたかったけれど、今回は父親の判定の立ち会いに来られたということで、それはなかった。そのことは少し寂しかった。
「介護」といっても、服の脱ぎ着を助けているわけでもないし、食事の介助をしたりトイレの世話をしたりするわけでもないので、本当はこの言葉は僕にはおおげさなのだけれど、そばで様子を見て医者に行くよう言ってみたり、医師から聞いたことをデイサービスの方にノートに書いて伝えたり、入通院の付き添いをしたりをしている。本来、「介護保険制度」のおかげで、その程度のことをしておけば後は行政サービスに乗って、うちのようにお金がなくてもまずまず親のことは大丈夫なんだろうと思っていたら、どうもそうではないらしく、もしもこのまま両親が寝たきりになったり(実際、母親はだいぶそれに近い)したら、施設に入るにしても結構な金額が要るようだ。その上、費用がまだ少なくて済む公的な施設は定員の空きも少ないのだとか。そうすると、これはどうしたらいいんだろうかという気持ちになる。本来は「家族の負担が重くならないように」という理由で介護保険制度が作られたはずだし、その予算も必要だから自分も介護保険料を払っている。消費税もそんな名目で導入され税率も上げられてきた。来年度と再来年度にはさらに上がるのだという。確かに数十年前に比べたら家族の負担は減った部分はあるのかも知れない。それでもいまだに人や制度の助けを借りるのに相当なお金が要るのなら、この制度ももう一度根っこから見直す必要があるような気がする。