「ウツ」と言われたとき

先々週の父親の診察が終わり、母親にまつわる一連のことも済ませたあたりで途端に気持ちが「落ちた」気がして、主治医と話していたら、こちらがわ〜っと元気よく早口で話している最中に「ウツやわ」と言われる。その日は診察に出かけるのもおっくうだったし、少し遅れ気味でもあったので「もう、処方箋をもらうだけにしようか」などと思っていた。なんとか5分遅れぐらいで着けたのと誰も待っておられなかったので10分ほどは話して頂けるだろうと思って診察室に入った途端に、それまで胸に溜めていた自己卑下やら憤懣やらが一気に口から出てきた。それを聞いていての先生の言葉。
とっさに、「いえ、こんなに元気に話せているので」と返すと、「そういうことでもないんです」と。自分としてはかなり合理的に自分のことを話したつもりなのだけれど、結論が常識外れであるらしく、それはなんとなく自分でもわかってはいるのだけれど、どうも今でもそれが合理的結論のように思われて仕方がない。外で人が待っている気配がしてきたので気が気でなくなり、先生にそれを伝えるけれど、先生はそこで診察を終わりにせずに、結局あとの人に時間のしわ寄せがいってしまった。
ともかく、先生からも強く言われなかったので油断してさぼり気味だった服薬一種類を、今後は日々の量をともかく飲むように言われて、帰ってからはベッドの上で過ごすようになった。普通の食事はとるのがめんどくさくなり、味のわかりやすい、甘いお菓子なんかを少し食べては寝る。
やらないと・・・と思っていることがあるのでパソコンに向かおうとするのだけれど、まったくその気にならない。たとえスイッチを入れても文書を開いてすぐに頭を抱えてしまい、またベッドで横になることを繰り返していた。サイトのページを「暗い」と思い、鮮やかな花の写真を選んで(この作業はしんどかった。)差し替えた。一週間ぐらい絶って、ようやくものも食べれるようになり、ドラマなどもみれるようになった。作りたかった文書も案を作った。犬を連れて散歩に出られるようになった。けれども自分の中で行き着いた合理的考えはまだ否定されていない。

それ以前から体に虫さされがたくさん出来て、おそらく家ノミにやられたんだろうと思い塗り薬など試してみるもののあんまり効果がなく、ここ数日はジンマシンにも悩まされている。最初、ノミをもちこんだのを犬のせいにしていて盛んに洗いノミ取りをしていたものだけれど、だんだんと、部屋自体に原因があるような気がしてきて、敷いてあったふるいカーペットを捨て、バルサンを炊いてからそちらの方は少しましになってきているような気がする。
僕と似た体質の母親も「マシになってきた」というから、確かにましにはなっているのだと思う。犬も、以前ほどにはノミが見当たらなくなった。けれどここ数日の間に出てきたジンマシンの理由はわからない。
「ウツ」と言われて、実は僕はホッとした。なんだろう、「心配してもらっている安心感」とでもいうようなものが生まれてきた。別にこれまで主治医にしても僕について心配してくれていない!ということなどはなく、むしろいろんな場面で助けを得てきたはずなのに、どうしてか今回その感情が生まれてきて、それでホッとしてしまった。こころの状態としては「合理的考え」以外にはどうかしたら自分が自分でなくなってしまうのでは・・というような、不安発作前のあの感じがあるのだけれど、そんな安心感も感じてしまっている。
以前、職場で本当に突発的にそうなった方をみた。その方はふだんはむしろ快活な方だったのに、あるときを境に発症されて次にお会いした際には何も話されないし、からだは俊敏な動きをされるのに座るとじっとうつむいておられるという日が続いた。僕が精神的症状のあることを知っておられる別の方が、「かずやさん、なんか隣にいて何にも話しかけないのも悪い気がするし、こういうときどうしたらいいんでしょうね」と話してこられたので、とっさの事に弱い僕は反射的に「特にそんな気を遣わなくてもいいのでは」と早口で返した。同席だった別の方が、「そうやな、そうかも知れへんな」と、本当に納得されたのかどうかはわからないけれど、そう話された。
後で「どうしてあんなつまらない反応しか出来なかったんだろう」と自分を責めたものだけれど、気の遣い方としては、「その方がもしも話をして来られるようなことがあれば普通にそれに応じて、そうでない限りは無理にこちらから話しかけないでもいいのでは」というのが正解だったんじゃないかと思ったものだった。

「ウツ」と言われたとき” への2件のフィードバック

    1. 紫陽花さん、コメントありがとうございます。
      ご心配をかけてしまってすいませんでした。今も状態がそんなにいいとは言えないものの、
      こうして文章を書けていること、写真への興味がかろうじて続いていることは
      こころのバランスをとるのに大切なことじゃないかと思っています。
      少し時間を頂くかも知れませんが、紫陽花さんのサイトにも再リンクさせて頂きますね。

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