昨日、NHKBSで飼い主から放棄された犬や猫を紹介して、新たな飼い主を募集する番組をやっていた。僕の年代なら、80年代に教育テレビで「You」という、当時の若者向け番組のMCとして記憶にある糸井重里さん(個人的には「ほぼ日手帳」で今お世話になっている。)が出演されていて、他のゲストといっしょにいろんな事情を抱えた犬や猫の様子を親しみと共によく伝えられていた。
この手の番組は見たことがないので興味深く見ていたら、どうやらドイツに同じような番組があって、はっきり言うとそれを「パクった」ものらしかった。
けれど、こんなパクりならどんどんやればいいと思った。
飼い主が見つからず、幸いにもボランティアさんの手で救われた命の存在を、テレビというメディアで広く伝えて新しい飼い手へとつなごうとする試み。公共放送として本当にふさわしい内容だと思う。これはぜひ定期的にやってほしい。
そして、こういう番組を契機に、NHKはもっと公共に資する放送局に変わるべきだ。たとえば、「公正中立な立場からのニュース」なんかはあり得ないので、与野党が対立するような政治ニュースはやめて、ふだんの天気予報とか、多くの人に影響がありそうな事故や災害関連のニュースに比重を大きく移すべきだと思う。
「公正中立」といえば、今のように政権が大きく右に舵を切っている状態の時には、「中立点」も大きく右に動いてしまう。これがもし、社会党が政権をとった時の「中立点」のままでNHKがいたら、おそらく今の政権与党なら「NHKは左寄りだ」と大きな非難を浴びるだろう。なので「公正中立」なんていうのは茶番に過ぎない。
この日曜日、沖縄の辺野古新基地建設(「移設」というけれど、辺野古に基地ができても普天間がそのままそっくり返還される保証はなにもないので、あれは新基地建設だ。)についての住民投票が行われるにあたって、NHKがニュース9で伝えたのは、「以前は基地建設に反対だった若者が、その後いろいろと考えたあげくに住民投票を棄権しようと決めた」という内容だった。
NHKとしては、「この伝え方なら「賛成」にも「反対」にも触れていないから公正中立的立場ですよ」と言いたいのかも知れないけれど、もしこんな理由で投票を放棄する人が大きく増えていれば、結果として投票率は有効の目安の50%を切っていたかも知れない。実際には投票率は52.48%だったわけだけど、NHKの事前の「放棄を決めた若者」報道がこれを上げるのではなく、押し下げる方向に働いていた可能性は大いにある。
もし投票率が50%を切ってしまって住民投票が無効になっていたら、基地建設に反対が多数を占めるだろう結果を見ずにすむ現在の与党をはじめ、辺野古新基地建設賛成(黙認)派にとっては好都合だったに違いない。ただ実際には建設反対が72.2%を占めて投票資格者の1/4を超える結果となった。
NHKがやるべきことは、こんな間違った「公正中立報道」に腐心することではなくて、もっと市民の生活に密着した情報を提供することなんじゃないかと思う。そういう意味では捨てられた犬や猫を紹介するといった番組はとてもいい。ニュースはお天気とスポーツニュースと、多くの人が関わるような事件、事故、災害にのみ注力すべきだと思う。
ということで、少ししんどかったけれども、うちの犬もまともな生活をさせてやらないといけないと思って、少し長めの散歩に連れて出た。まだ2月だけれども今日はとても暖かくて、もう春が近いことを感じさせた。川の土手沿いを歩いていたら梅の花が開いていたので写真を撮った。犬もいつもよりたくさん、そこいらの地面や草の匂いをかぎまわった。